お祭り男爵とお祭り女王のお話(後)

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目にも止まらない程のスピードで翔る疾風は男二人と焼きそば屋を吹っ飛ばし完全に気絶させ、ランを担ぎゲログルガから離れていく。 疾風がランに声をかける。 「どうだった?男爵ハリケーンとランちゃんカーブの合わせ技は?」 疾風の正体はヒューイだった。 ヒューイは担いだランを降ろし、口に巻かれた布を解いてやる。 「ふぇぇぇん!!男爵ぅぅ……恐かったよぉぉ!!……あれぇ…?じゃあ木の上にいるのは?」 「ああ、ヒロだ」 ヒロは俺の浴衣と自分の浴衣を取り替え、ひょっとこのお面を被りお祭り男爵に成り済ましている。 全てはランの救出の為、わざと目立ち注意を自分に引き付けたのだった。 「さて……ラスボス退治しないとな」 ゲログルガを見据える。 「小僧……お前ただ者ではないな……今のスピードは人間離れし過ぎている」 こいつ……仲間を倒されても少しも焦らない。戦い慣れしてるな……俺と同じで冷静に分析するタイプか……面倒だな…… 来る前に出店で売っていた木刀を正眼に構える。 ゲログルガが嫌らしい笑いを浮かべながら言う。 「そのスピードなら今から放つ魔術も避けれるだろう……一人……ならな」 やっぱりランを見捨てて逃げないことをお見通して狙ってくる気だな…… ゲログルガは今だに渦巻く炎の壁をこちらに向け地を這うように放射状に飛ばす。 俺はランを再び抱き上げ、右に一足跳びにかわした。
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