お祭り男爵とお祭り女王のお話(後)

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飛んでくる剣をろくに見ずに、難無く掴む。 「知ってるか?俺が使えばどんなナマクラでも、切れ味だけなら名刀になるって事を」 杖とすれ違い様に剣撃。通り過ぎると杖は細切れになり地面に落ちる。 「くそっ!雷槍!!」 ゲログルガに焦りの表情が浮かび上がながらも、雷の槍をこちらに向けて投げ付けて来る。 自らの性能以上の無理な使い方に耐え切れず、ひび割れや刃こぼれした剣を雷に投げ付け相殺した。 落雷した時に起こるのと同じ轟音が鳴り響く。 「知ってるか?切り札ってのは防がれると、もう後がないと言う事を」 その言葉と供に不敵に笑い、ゲログルガの懐に入り込み拳を下から顎に叩き込み体を空中に浮かせる。 「ぐあっ……!!」 そして自らも跳び上がり右から顔に回し蹴りをくらわせ、その反動で一瞬にして左からまた回し蹴りを叩き込む。 最後にそのまま足で顔を押さえ込み、重力に逆らわず地面に叩き付けた。 「がああああああ!!」 ゲログルガは絶叫しながら地面に顔からぶつかり、完全に沈黙した。 ふぅ……終わったか。 所詮魔術師、体術はまだまだだな……蹴りの時点で気絶しないのは、常人よりタフではあるけどな。 ランの方を見ると目を見開き驚愕の表情をしている。
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