お祭り男爵とお祭り女王のお話(後)

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「ヒロうるさい!ええから、少ししゃがんでぇ」 特に断る理由もないので、言われるがままに膝を少し落とす。 よく分からないけど、何がしたいんだろうな。 するとランはゆっくりと近付いてきて…… 俺の唇に…… ランの唇が重なった。優しい精一杯の気持ちが込められたキス…… ほんの一瞬だけのキス…… 「なっ!?」 思わずキスされた唇を手で押さえる。 「へへぇ!ランちゃん考案幸福のチューや、うちのファーストキスやもん絶対御利益あるから!ヒューイを必ず守ってくれるから!」 やった本人の方が顔を赤くして宣う。なんだか恥ずかしさが、こちらまで伝染してくる。 「ヒロ!も……もう行くで!!ヒューイ……その……次会ったらそっちからして……欲しい……信じて待っとるから」 照れ隠しの為か顔を真っ赤にしつつ、視線を合わせず先を急ぐラン。 「ヒューイ……またな!」 二人は共に戦った戦友同士の証とし、拳を力強く重ね合わせる。 「ああ、またな。また会おう……絶対に」 俺達は手を振り別れた、お互い姿が見えなくなるまで何度も何度も手を振った。 こりゃ死ねないな……絶対また会おうな……ラン……ヒロ…… お前達に会えて戦う理由と、死ねない理由ができたよ……ありがとな……
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