お祭りの終わりにのお話

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『最後だしな……認めてやる。あんたは最高の隊長だったぜ……あばよ』 俺が残るって言ってるだろうが!!時間稼ぐくらいなら出来るから!お前達は逃げろよ!! 『あはは~。大魔法使いのボクがいるからなんとかなるよぉ!……だから待っててね。時間掛かってもちゃんと会いに行くから』 お前魔力あんまり残ってないだろが!死なせたくないんだよ!分かれよ!待たないからな!だから逃げろよ!!逃げてくれよ!! 動けよ俺の体!ふざけるな!こんな時にふざけんな!!もうなくしたくないから!守る為に強くなったんだろが!! 次第に体が淡い緑の光に包まれ俺は…… ◇ ああ……私は…… 本当に大事な者をなくした…… 記憶がどんどん溢れてくる……全て……思い出した。私の力が足りなかったせいで……なくしてしまった。 胸を切り裂き破壊せんとする邪悪な、どす黒い感情を押さえ込む。 この感情のまま従えば、私は全てを破壊する復讐鬼になる。 しかし……そんな事はできない! 悲しむ人がいるから。 守りたい人がいるから。 失いたくないものができたから。 アリス……ラン……フェイさん……ルシエラさん……マイドさん……ラキス村の皆…… そして私なんかをマスターと呼んでくれるドルチェ…… 皆の名前と顔を思い浮かべると、不思議と気持ちが少し落ち着いてきた。 竜という災害により全てを失い、怒り狂った。大切な仲間を奪われ全てを呪った。魔王との戦いで親友を守れなかった。 それでも大切なものができた。今私は幸せなのかもしれない。
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