お祭りの終わりにのお話

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再び背中合わせに座る。ふとランがに渡したハンカチが目に映った。十年前のハンカチ…… 「ラン、そのハンカチよければあげましょうか?というかよく持ってましたね」 「ほんまか!?これうちのお守りやねん、これ持ってると勇気出てな。男爵の形見の品やったし」 「形見……!?まあ、確かに」 なんだか可笑しくて、思わず苦笑した。 しかし十年もよく持ってましたね。つぎはぎもあるし、そこまで大事に持っているなんて…… ……勇者……か。 「ヒロなんか、ひょっとこのお面を今だに勇者様のお面だって実家の仏壇に飾っとるで。ヒロのおばあちゃんがそれに向かって毎日拝んどるらしいし」 ……やめさせなければ。 「しかし、あの泣き虫だったランが強くなりましたよね」 その言葉に不満なのか、ランは眉を八の字にする。 「別に強くなったわけやないんやけどなぁ……初めて勇者亭に来た時も泣きそうで、ついテンパって大声だしてもうたし」 勇者亭で雇って欲しいと土下座した時か……あれは驚いた。どう扱っていいのやら本当に困った。 「今までヒューイの前では泣かんようにしてたんやけどなぁ……」 ランの言葉の意味する所が分からずに、首を傾げる。 「別に私の前で我慢する必要ないですが……?」
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