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二人で屋根から二階に降り、待っているであろう皆の元に向かう。
「ヒューイ……皆うちのこと心配して待っててくれてるんやろなぁ……食事もまだ待ってくれてるかも」
「そう……かも知れませんね」
一階が見えて来た。話し声が聞こえる、皆ランの事を話してるのだろうか……
「行きますよ?」
「……うん」
少しだけ緊張しながら階段を降りきり、ホールを見回すと……
マイドさんがシルクハット片手にステッキを持ち、鳩を出していた。
皆焼きそばを食べながら、マイドさんを見て談笑している。鳩がパタパタパタと羽音を鳴らし、飛び回っている。
「ハッハッハ!ほいほいのほい!」
マイドさんはステッキを花に変えた。皆から拍手が巻き起こる。そして先程出した鳩は、マイドさんの頭にピタッと止まった。
「ほう……やるな……しかし飲食店に動物を連れ込むのはマズイ。キッチンには入れるな」
フェイさんが感嘆の声と注意を促す。
「マイドさん、たまにはやるじゃな~い」
感心した様子でルシエラさんは、いつものニコニコ顔で拍手を続ける。
「チョビ髭……鳩は羽をむしり取り、捌いてから塩胡椒を擦り込み炭焼きにすると美味しいです。臭み消しには食べる直前にカボスを少し絞ります」
ドルチェは善意で淡々と調理工程と、オススメの食べ方を説明する。
「ドルチェちゃんダメよ。アリスちゃんが怖がって、プルプル震えてるから~……しかし可愛いわね」
「あうぅ~鳩さん……」
アリスを見てドルチェは、ハッと気付いたかのように反応した。
「む……アリス。すいません……唐揚げの方がよかったですか?」
「た……食べちゃダメだよぉ……」
アリスはまだ涙目でプルプル震えている。
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