伝説のち晴れのち魔王

彼の憂鬱とガールフレンドのお話

そう呟いた瞬間確かにこの場の空気が変わるのを感じた。

同じ様に食器を洗っていた、アリスとドルチェの手がぴたりと止まる。

……なんだろうか？あまりいい予感がしないのは、気のせいだろうか。

「仕方ないなぁ、お兄ちゃんはぁ……やっぱり彼女さんは、将来的に一緒にお店やってくれるような人がいいと思うんだよ……だから……その……アリスが『ゴフンゲフン！！』

アリスの言葉はドルチェの咳ばらいによって遮られた。

「……マスター、チョビ髭Jr.の事ですが上手くいくのでしょうか？」

強引に話題を変えるドルチェ。アリスは話を遮られ悲しそうな顔をしている。

……ぐっ……なんだかマズイ話だったような気がする……凄く辛いがここはドルチェの話に乗るべきだろう。

「まあ……大丈夫だと思いますが、多分いつもの如くフラれて『アレン祭は僕の助けが必要だと思いまして！やっぱりデートは断って手伝いますよ！！』とか言ってきますよ。きっと」

「……成る程、さすがはチョビ髭の息子です。マスター、そろそろ時間では？」

ん？確かに準備する時間をいれれば、そろそろ行かないとダメだな。

「アリス、今日は私達はキャベツを処理するのに出掛けなければいけません。フェイさんによろしくお願いしますね」

「うん……」

片付けを急いで終わらせ少し機嫌を損ねたアリスに、帰りにケーキを買ってきてやると約束し勇者亭を後にした。