魔王亭それは漢の集う店のお話

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日が高く昇り気温が上がり、じりじりと太陽が照り付けるお昼の時間。私達の前にはお父さんからお母さんやら、老若男女の長い行列が出来ていた。 「一つ下さいな」 そんな中年女性の声に営業スマイルで答える。 「はい、毎度あり」 目の前には熱しられた鉄板。じゅーっと何かが焼ける音が響く。 まず鉄板に油を敷き、山芋と小麦粉を練った生地を薄く伸ばして焼く。少し焼けたら上にキャベツを山盛りに乗せ、天かす、豚バラも乗せる。その間に焼きそばを隣で作り準備完了。 ここからが技の見せ所。キャベツテンコ盛りの生地を、ヘラで辺りに飛び散らない様にひっくり返す。 そして上から押さえ込み蒸し焼きにする。さっき山盛りだったキャベツが、見事に縮まり薄くなる。 豚バラの焼ける、いい匂いがしてくる。 いい感じに焼けて来たら卵を割り入れ、円になるよう薄く伸ばす。生地を上に乗せ、さらに焼きそばの上に乗せ押さえ込む。 最後にソースに青ノリ、カツブシをかけ完成。鉄板に零れたソースの焦げる匂いが辺りに広がり。食事時の皆様のお腹を鳴らす。 「はい、どうぞ!マヨネーズはお好みでお付け下さいね!」 目の前の女性にそう言って、マヨネーズの入った、スプーン付きの容器を指差した。
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