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◇
ぼんやりとした意識が徐々に覚醒していく――ん、今のは夢……か。
昔の夢。ずいぶん久しぶりに見た気がする。
……昔はあの悪夢にうなされる事がよくあったな。
……それにしても、竜が自分から村を襲うなんて、滅多にない筈だ。本当、なんて運が悪いのだろう。
火竜なんて村の近くにいるはずなかったのに、いったいどこから来たのか……調べてみたが結局謎のままだった。
それにしても体が痛い。特に腹辺りが……なんだか吐き気も少しある。
そうだった。確か最強モードの村長の、渾身の一撃をくらって意識を失った……んだと思う。
ん?昔の夢?いや、もしかしてこれが噂に聞く走馬灯では!?
――痛みを堪えながらうっすらと目を開けると、天井が見えた。首を横に向けると枕の柔らかな感触が頬に伝わって来る。
ああ、成る程。どうやら自分はベットに寝ているようだな。
見覚えのあるこの部屋は、勇者亭の自分の部屋だ。
「どうやら死んではいないみたいですね……ぐあっ……は……腹が痛い」
なんとか村長の拳が当たる直前に魔力のシールドを張り、さらに後ろに跳んで威力を最小限にした。
だが、それでもこの威力……肋が何本かいってるかも知れない。
しかも気を込められた攻撃だから、回復魔術が効きにくいのが問題だ。
まあ、対処方は何度かあった村長戦で分かってはいる――
まず回復魔術をかける前に、怪我をした部分を中心に魔力を集中して高め、破壊の力が込められた気を中和していく。
その時ドアがバーン!と勢いよく開けられた。
部屋に入ってきたのは女性である。年の頃は自分と同じくらいで、ブラウンの長い髪をおだんごにして二つにまとめている。
着ているチャイナドレスがとても似合い、白い肌が眩しいがその表情からは活発そうな雰囲気を醸し出している。
ドルチェには敵わないが、スタイルはかなりいい。
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