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「あれ、ヒューイ起きたんかぁ?死んでなくてよかったわぁ!」
底抜けに明るい彼女の、独特な喋りが耳に届いて来た。
「あぁ、ラン。久しぶりです。あの……なぜ私が自分の部屋にいるのか、状況を説明してもらえるとありがたいんですが」
彼女、ランは調理師見習い兼ホールとしてうちで働いている。
本職は調理師なのだがバイトさんが足りない時だけ、ホールを手伝う場合もある。
料理の腕もなかなかのもので、才能もある。また炎の魔術が得意らしく料理時によく使っている。
もちろんうちには立派なキッチンがあるので、わざわざ炎の魔術を使う必要はない。
しかし魔術を使ったほうが一瞬で火が通り、またイメージした通りのより繊細な火加減の調整ができる。
もちろん、それなりの魔術の腕があればこそ可能な芸当だ。
キッチンというのは一種の戦場。そう例えが出来る程に慌ただしい。
味も大事だが、いかに調理スピードを上げて山のようなオーダーを、素早くこなすかというのがかなり重要だ。
……暇な店は例外だが、有り難い事にうちは繁盛店なのでかなり忙しい。
私も一応魔術師が使う属性の魔術も使えることは使える。
しかし、私は職業が僧侶なので、魔術師が使う魔術を放つには通常の倍の魔力を消費することになる。また頑張っても中級程度の魔術しか放てない。
まあ、戦闘では使いづらいが料理で使うなら十分使えるレベルではある。
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