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な、何ですかこの展開は!
え?……してもいい?けどランのことは家族みたいなものだと思っていたので。
……その……好きは好きだと思う。けど、そういう意味はあるのか自分でも……
というか、本気なんだろうか……?
いつもの冗談では?私が好かれる理由なんてない。きっとそうだ。
どうも自分に向けられる愛情というのに関しては、いまいち把握するのが難しいな。
両親を早くに亡くしたから、あまり触れる機会がなかったからだろうか?
なんだかもったいない気もするが……
なぜかドルチェとアリスに後ろめたさを感じたのもあり、理性を保つ為とりあえず話しを逸らす。
「えーと……そうです!ランが初めてうちの店に来た時の事、思い出してただけなんですよ」
我ながら強引過ぎて苦しい。慣れない事に対処するのは本当難しいな。
「……そか……そうなんや。てかやめてやぁ!あの時うち興奮しとったから、自分でもアホな人みたいやったと思うし」
どうやら何とか話を逸らせそうだ。ランの本心は分からないが、今は何も応えれないだろうしこのまま続けた方がいい。
「フフ、あれは忘れたくても忘れられませんよ。けど本当に三ツ星レストランのシェフより、私のが上だったと思いますか?」
「何度も聞かんといてや。そりゃ料理の完成度から言うたら、三ツ星レストランのシェフのが少し上やと思うけどなぁ。それでもあんたの料理の味や、独創的なセンスや才能のが上や!」
ランは真剣な顔になる。料理に対する彼女の情熱は真摯で、妥協をしない。それ故の選択。
「あんたはもっと伸びる。というか実際伸びたやろ?技術なら後でついてくる、けどあんたの料理は他じゃあ学べへんからな」
私の料理……か。自分ではそんな凄い物だとは、思った事はない。
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