おいでませ勇者亭のお話

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「デートって言うの止めませんか?またアリスが誤解して拗ねますから」 そう言いながら苦笑した。 ランが言うデートは市場で山のような大量の食材を買い込み、物凄い数の料理を作り私が味見をすることだ。 もし私が認めた料理があれば新商品としてお店に出る事になり、今までもいくつか商品化してたりする。 食べ切れなかった料理は魔王の遺産の指輪にしまい込んで、また次の日にも食べる事にしている。 どうやらあの指輪の別空間は時間が止まっているようで、料理が腐らず温かいまま保存できるからだ。 「………本当のデートなんてしたことなかったから…どんなことしたらええか、分からんかったし…今更それっぽいことしたい言うの、照れ臭いだけやのになぁ……」 ランはこちらに聞こえない小さな声でつぶやき、頬をポリポリとかく。 「すみません今の聞こえなかったんで、もう一度言ってもらえますか?」 「な……なんでもない!で?どうなんや?」 なぜかランは顔を赤くし焦っていた。あの様子だともう聞き返せそうにないな。 「もちろんいいですよ」 断る理由もない。ランの料理は美味しいし、やはり料理は作る人によって違った物になるから楽しみだ。 「よっしゃ!それじゃあ、教えたるわ。あんなぁ―――――」 ランは私が村長に殴られて気絶してからのことを話し始めてくれた。
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