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「お父さん。お母さんは認めてくれたんだけど、お父さんはどう……かなぁ?」
「もちろん許すさ!だから嫌わないでくれ!!」
表情が必死過ぎる。さっきまでのあなどれない隙のない男というイメージが音を立てて崩れていく。
「お父さん大好き!」
「うおおん!ヒューイ君!娘を泣かせたら殺すからな!」
もうダメ親父モードになってしまったようだ。
「ほわわっ!お父さん一体何を!?あ、そうだ!お父さんの事お母さんが呼んでたよ!」
流石のトルテも厄介払いしたいのか、背中を押して階段へと向かわせようとしている。
「そうか……トルテ、私達はいつでもお前の味方だからな……今度からは辛かったら我慢せずすぐに言え。父さんすぐに飛んで来るからな」
そこで一度止めてからトルテの方を向いて頭を撫でた。
「頑張れよ」
「はい……お父さん」
その言葉に微笑み階段を上がっていった。
私とトルテが残り、地下特有の静寂の空間が辺りを支配する。
「皆はどうしてるんですか?」
口火を切ったのは私。
「はい、皆さん私の為のパーティーの準備でお忙しいようで……手伝おうとしたら私は主役だからと言われて追い出されてしまいましたぁ」
成る程、そうなると行き場もなくなるな。
「トルテ、座って下さい」
カウンターバーの椅子に案内して座らせ、私はカウンターの奥へと向かい棚からグラスを取り出した。
「えと、お兄さんは行かなくてもいいんですかぁ?」
「主役をほったらかしにはできません。準備が終わるまで私が接待しますよ」
まあ、楽したいだけですがとうそぶきながら顔を合わせて笑い合った。
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