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「とにかく、本当にありがとうございました」
「……はい」
ドルチェは少さく微笑む。やはり心配かけてたんだろうなぁ。
――なんだかいつもよりその笑顔が優しく見えるから。
「……マスター、お腹が空いてると思ったので、食事を用意しました」
「ドルチェは本当気が利きますね。もちろんいただきます」
「……はい」
お盆の上にはご飯とサラダ、そしてメインにハンバーグが乗っていた。見た所二人分用意されている。
ハンバーグは少し深めの皿にトマトの赤いソースの絨毯が敷かれていた。小さめに切ったブロッコリー、ニンジン、ウズラの卵が彩りを飾り中央にある主役のハンバーグを引き立てている。
「今は初夏で少し暑いので、熱々のハンバーグの下に冷たいトマトのソースを敷きつめてみました。食べる前にハンバーグが冷たくならないよう、トマトソースとハンバーグの間に人肌程度に火を通したトマトスライスを挟んであります」
「さすがドルチェ。相変わらず美味しそうです」
彩りに盛り付け、心遣い共に完璧に思える。
「……当然です。サラダもまだあります。マスターはパンよりご飯が好きですから、大目に炊いておきましたのでおかわりは言って下さい……一緒に食べましょう」
「分かりました」
左手の指輪に魔力を込め、テーブルと椅子を出した。私とドルチェは「いただきます」と食べ始めた。
「あ、これはドルチェの料理の中でもかなりの味ですよ!」
「……良かったです。マスターはハンバーグ好きですから、新しいレシピ考えました」
「これなら勇者亭でも出せますよ。新メニューに検討してもいいですか?」
「……私のメニューがお店に?それは嬉しいです」
二人で楽しい食事のひと時を過ごしていると、すぐ隣から待ったの声が掛かった。
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