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二人のやり取りを見ていたドルチェは、目を見開きワナワナと震えていた。有り得ないとでも言わんばかりに……
「マスターが涙を!?そんなに美味しいのですか……?私の料理でも涙を流したことはないのに」
ドルチェは私の茶碗蒸しとスプーンを強引に奪い、止める間もなく口に入れる。
ドルチェの時が止まった……
無言でこちらに茶碗蒸しと、スプーンを返すドルチェ。未だ無表情を保っている姿勢は褒めてあげたいくらいだ。
「……食材を……兵器に変えるとは……さすが勇者の妹……です」
ドルチェは足取りも覚束ないまま、ふらふらと部屋を出て行く。心配だが私も似たような状況なので、気を遣ってあげる余裕が全くない。
しばらくすると、何かがバタンと倒れる音と「ドルチェ!大丈夫か!?気をしっかり持つんやぁぁぁ!!」という叫び声が聞こえてきた。
私はというと残った茶碗蒸しを直ぐさま完食した後、ベットに白目を剥いて崩れ落ちた。
「あれ?お兄ちゃん?疲れてたのかなぁ?いきなりベットで寝ちゃうなんて……仕方ないなぁ。お休みなさい」
アリスは意識が朦朧とする私の頭を撫で、布団を掛けてくれてから部屋を出て行く。恐るべしはアリスの料理……
……そのまま抵抗も出来ずに再び眠りに落ちた。
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