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……彼女は微塵も表情を変えずに男のそばを離れ、
手際よく野営の支度をととのえ始めた。
男の口元から嘲笑は消えうせ、先程とはうって変わり、
虚空を見つめるような遠い表情が伺えた。
男が組織を離れ、自分達の作品と放浪の旅をつづけるのは何故か。
記録。
興味。
確かにそれはある。
組織に対して離反したわけではないのだから。
ただ、それらを凌駕した何か得も言われぬ感情に突き動かされているのもまた、確かであった。
その気持ちが何なのか…
ある意味、作り上げた者への…
神的な気持ち…
父親的な気持ち…
それとももっと違う…
…
Γ馬鹿馬鹿しい!」
揺れる炎を見つめながら男はそこで自分のタブーに触れる思考を無理矢理に止めた。
ただ同じように炎を映しだす彼女の瞳を見ると、俺は今この時間を大切にしたいのは確かだと認識される。
炎に照らされてゆっくりと流れる時間の中、突如機械音が優しい空間を崩した。
ザザッ
「本部より通信、実験体の回収に入る」
…本部から!?
回収?
話しが違うじゃないか!?
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