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なんか、信じられない。
こんなに素敵な人を女の子たちが放っておくわけないもの。
「楓が初恋なんだから、初キスだよ」
「……本当にー?」
意地悪っぽく聞いた。
「ホント!──あ、忘れてた! キスしたことあったよ」
(ほらね。そうだよね、やっぱり……)
わたしはちょっとうなだれて、都賀くんの首のほくろを見ていた。
「史彰と」
「──」
「あいつのは、すんげぇ濃厚!
吸盤みたいに吸い付くし、舐め回すし、テクニック仕込まれた!」
「やだぁ──」
史彰くんの可愛くて濃厚なキスを想像して思わず笑ってしまう。
「俺、楓とキスできるなんて思ってなかった。
こんな近くで楓のこと見ていられる……。すごい嬉しい」
「わたしのセリフ取らないで!」
都賀くんは本当に楽しそうに笑った。
わたしもその笑顔につられてクスクス笑い続けた。
「楓。俺のことも名前で呼んで」
「え……?
なんて呼べばいいの?」
「まかせるよ。直ちゃん以外で」
「えー、困る。
ナオちゃんがよかったな。どうしよ……ナオ?
ナオ……くん付けてもいい?」
「んー、しようがない。いいよ」
「じゃあ、直くん」
「1日も早く、くんがなくなることを願ってます」
そう言った都賀くんの手のひらが、優しく私の髪に触れた。
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