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「おかえり、やっと帰ってきたか」
私はある筈ない返事に驚きその場に立ち尽くしてしまった。
「どうした?」
そんな私の様子に不思議そうに首を捻り近づいてくる相手に私は危険を感じ精一杯声を張り上げた。
『きゃーっ、泥棒。変質者』
「馬鹿者、誰が変質者だ、誰が」
呆れたように言いながら尚も私が叫びそうになると右手人差し指を私の喉元に触れさせた。
すると私は声が喉に詰まったような感覚に囚われ声を出すことが出来なくなった。
よく見るとその人物は真っ赤な血のように真っ赤な紅い眼と何処までもまるで絶望しかないような闇を映す黒い眼、触れると柔らかそうな翡翠の毛色をしていた。
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