5人が本棚に入れています
本棚に追加
『ん…………んぁ…ぇえええ!!遅刻っ』
耳障りな金属音を止めようと伸ばした右手で掴んだ目覚まし時計が指した時刻に一気に目が覚めた。
切羽詰まった時程、人は驚異的な力を発揮する。
いつもなら二時間は要する身支度を僅か15分で済ませた私は昨日買っておいたクロワッサン一つ唇に挟みお気に入りの音楽をかけ駅へと走る。
『はぁ、はぁ…あー間に合った』
ぎゅうぎゅうの満員電車に乗る前にクロワッサン一つ食べ終え、乗り込んだ入り口傍の手摺に掴まる。
次第に混んでくる車内、ぎゅうぎゅうに押さえつけられながら会社に向かうことは最早日常的。
《………もう最悪、送り迎えがあればな》
人の間に挟まれながらそんなことを考えてしまう。
駅に着いたら着いたで流されるように降りまた、人混みを掻き分け進むことになる。
会社に着く頃には既にヘトヘトだったりする。
最初のコメントを投稿しよう!