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「どうかしたんですか?」
蒼志の顔から良からぬ雰囲気を読み取った絢香は不安気にたずねる
「あ、いや…。」
「あ。……そう言えばお話。なんなんですか?」
「えぇ!?…あっと…その、、、」
いきなり核心を突かれた蒼志はつい口ごもる
「えっと…その……つまりぃ」
「??」
「…う……。」
これ以上話を先伸ばしにすると本気で授業に遅れそうなので蒼志は覚悟を決める
「あのさ、、、」
「は、はい?」
蒼志の真剣な表情に絢香は不安を募らせる
そして遂に蒼志は話を切り出した
「昨日、駅前の繁華街に行かなかったか?」
「……えっ…。」
その時、微かに震えた少女の肩を蒼志は見逃しはしなかった
「……やっぱり。…路地裏に入って行ったよな」
「…………。」
絢香は何も語らない。
「俺に、見覚え無いか?」
「?……………あ!?」
少しの間考える仕草を見せた絢香はやっと気付いた様に声を上げる
「…………やっぱり。あの赤い髪の女の子、アレは緋暮だったんだな」
「……………」
絢香はなおも黙秘を続ける
だがそれは蒼志にとって肯定を表す沈黙だった
蒼志はなおも質問を続ける
「…あの黒いのはなんだったんだ?……お前は、いつもあんなのと戦ってるのか?」
語気を荒げ、詰め寄るように問い詰める
当然だ。アレが世界的に、または局地的に発生しているにしてもアレは蒼志の街に既に発生しているのだ。家族や兄妹が居る身としては不安でしかたがないのだ
「……………あ……」
諦めた様に緋暮が口を開こうとしたとき
――――――…ギギギ
既に二人しか居なくなった屋上に第三者の登場を知らせる音が響いた
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