第3章 覚醒の[蒼]

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「―――ちょっ!?」 突如現れた第三者に大袈裟とも思える反応を示した絢香は、蒼志の腕をを掴み、強引に引っ張る 「ちょっ、ちょっ……なに!?」 絢香の突然の行動に着いていけていない蒼志は抗議の声を上げる 「すみません。でも、さっきの質問の答えが欲しいなら、取りあえず今は私には従ってください。」 静かに、それでも力強い絢香の声に蒼志は反論できなくなる 絢香と蒼志が給水塔の裏に入り込むのと同時に、複数の男の声が屋上に響いた 「よし。やっぱ誰も居ねぇや」 「けど、なんでこんな所なんだよ?」 「しゃねぇべ。こういう所じゃねぇと……なぁ?」 「……あぁ…そうだなぁ」 壁から身を乗り出して絢香は入って来た2人を凝視する絢香 「どうやら此方には気付いてないみたいです。………けどあの人たちこんな時間にこんな所でなにしてるんでしょう?」 蒼志は、真剣に悩む絢香に「俺たちも人の事言えないだろ」と言いたくなる衝動を何とか堪える 「井坂と榊だろ?多分サボリ。あいつら、この学園じゃあ結構名の知れたワルだし」 蒼志は一目も見る事なく告げる 彩華学園は基本的に真面目な学園である。不真面目な生徒は居ても、不良と呼ばれるグループは少ない(と言うか奴らぐらい) 「そうなんですか……」 「…………」 「…………」 「……………………」 「……………………」 長い沈黙が下りる。 チラリと盗み見た絢香は、真剣に、そして思い悩んだような表情で二人を見ている。 「………あのさ、そろそろ…」 「あ、もう一人来たみたいですよ?」 「…え?」 話につられつい榊たちの方を覗き見てしまう蒼志
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