第3章 覚醒の[蒼]

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蒼志が覗き込むと、そこには確かに井坂と榊以外の人影があった。 榊達より頭1つ程小さい彼は一年生だろうか? 「あ、あの……」 「へぇ時間通りじゃん」 「あの、榊さん…えっと……その」 「ちゃんと言ってた通り持って来たんだろうな?」 「えっと」 「えっと…じゃねえだろうが?いいから出す物さっさと出せ」 「………」 「なんか文句あんのか?」 「えっと……はいっ」 そう言って差し出した財布を井坂が引ったくる様に奪う 「ったく。最初っから素直に出しゃいいんだよ」 「えっと………じゃあ僕行きますから」 そう言って屋上を去ろうとした少年に井坂が声を掛けた 「次はこの倍は持って来いよ」 「そ、そんな!?……もう僕お金なんて持って無いですよ!?」 反論されたのが気に食わないのか、井坂は男に詰め寄る 「あぁ?…なんか文句あんのかよ?おぉ!?…金がねえなら親からでもなんでも盗って来いや!?」 「で、でも。今回だって…もぅ…うぐっ!」 なお食い下がろうとした少年の腹に井坂の蹴りが入り、少年は倒れ込む 「かっは!」 「おいおい。なんか文句でもあんのかよ?あぁ?」 低い声で脅しを掛ける井坂に、少年は懸命に食い下がる 「…で…でも!?…も…もうこれ以上は…親にも貰えないよ!」 「だから、盗って来いっつってんだろーが!」 「そ…んな!?」
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