第3章 覚醒の[蒼]

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絢香は目の前の炎を見据えたまま応えず、代わりに大きく跳躍する 「――なっ!?」 どう見ても一瞬で5メートルは跳躍した絢香に、蒼志は驚愕の声を上げる やがて跳躍は最高点に達し、絢香は炎めがけて自由落下を始める ――グォオオオオ!! 「!?」 そんな無防備に落ちる絢香を炎が放っておく訳はなく、炎はその腕をもって空中の絢香の迎撃に入る 弧を描く様に振るわれる炎の腕の先には無防備に落ちる絢香。 誰がどう見ても数秒後には絢香を薙払うと思われた炎椀は、しかし、その予想とは裏腹に絢香の繰り出した風の巻き付いた蹴りにより振り払うまでには至らない。 空中でぶつかり合う力と力は拮抗し、攻めぎ合う。 しかし、その拮抗もすぐに破られる。 「…ぅぐ…あぁ…」 先に苦悶の声をあげたのは絢香の方だった。 見れば黒い炎は更に大きさを増し、足の様な物までできていて、その足を使って地面に踏ん張っている。 「緋暮!!」 たまらず蒼志が声をあげる それ程までに絢香は劣勢に追い込まれていた そして、炎腕は大きさを増し再度絢香を薙ぎ払おうとする 「…は、ぁぁぁあ…!!」 絢香の足に巻き付いた風が量を増し、収束される一度は傾きかけたパワーバランスをを絢香がひっくり返す。 「……はぁっ!」 しかし、収束された力は押し返すだけでは留まらず、炎腕を粉砕した。
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