第3章 覚醒の[蒼]

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横から凄い力で殴られた、ということは何となく理解した。 痛みは不思議と無い。今自分が感じているのは浮遊感だけだ。 スローモーションで流れていく風景を眺めながら思う。 (……俺は、死ぬのか……?) 何かに打ち付けられる感覚。 そのままゴロゴロと何メートルも転がる。 だけどやっぱり痛みは無くて、それが何となく可笑しかった。 「……………!!」 遠くで緋暮が何かを叫んでるけど、何て言っているのか聞こえない。 (……なんだよ緋暮。…聞こえないよ。) そう言ようとしたけど思うように口が動かない。 そうこうしてる間にも緋暮の表情はどんどん曇っていく。 整った顔をクシャクシャにして、大きな瞳から涙を流して。何かを叫んでる。 (……だから聞こえないって。…それより…泣くなよ。笑えって。お前はそっちの方が似合ってるよ………。) そして唐突に意識がシャットダウンする。 最後に見たのは、黒い炎の化け物が、その存在を爆発させ絢香に腕をのばすところだった。
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