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(―――危ないっ!!)
意識が戻ると同時に叫んでいた。
(………あれ…?)
しかし、そこは彩華学園の屋上ではなかった。
(……ここ、どこだ?)
首を回し周りを見渡す。
(…………)
一言で言えば真っ白な空間。
地面はあるが、遠くを見ても壁は無く、天井らしき物もない。そのくせ頭上には空も無く、まさに真っ白な空間。
(……ユメ?)
そうとしか思えなかった。
自分は確かにここに居るが、自分の存在がひどく希薄に感じる。そこに居るのに、どこにもいない様に感じる。
「……っく………ひっく……ごめ…なさ……。」
どこからか声が聞こえる。
さっき見回した時には四方八方には確かに何もなかったのに、今は後ろに女の子の姿があった。
真っ白なドレスを着た、真っ白い髪をした女の子だ。
「……ひっく…ごめん…なさい……っく…ごめんなさい…」
白い少女は泣いている。泣きながら誰かに謝っている。
(お前も泣いてるのか…。)
「……ごめんなさい……っく……ごめんなさい……ひっく……」
(…泣くなよ。笑えって。)
少女の前にしゃがみ込みできるだけ優しく話し掛ける。
「…ひっく……っす…ごめんなさい……ひっく……ごめんなさい……」
それでめ少女は泣き止まない。
まるで声が聞こえないとでも言うように。
(……おい。聞こえないのか?泣くなって)
それでも少女は泣くのをやめない。
(……泣かないでくれよ…)
困り果ててそっと撫でてやると、少女が頭をあげる。
「…ごめん…なさい…」
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