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ーーズダダダダダダダ!!
ガララララッ!
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………ま、間に合ったぁ~」
荒れた息を整えながら自分の席につくと前の席の男に声を掛けられた。
「よう蒼志、今日もギリギリだな。」
少し蒼志より大柄で短い髪の彼の名は建御 雷(たけみ あずま)、蒼志とは幼稚園の頃からの腐れ縁である。
「最近毎日じゃねぇ~か。何かあったのかよ?」
「ん~…いや、ただ単に朝起きれねぇだけだよ。」
「朝起きれないだなんて、夜な夜な何をやってんだよ。……まさか!碧維ちゃんとあんなことやこんなことを!?」
ーーーガタンッ!!
雷が茶化す様に言った途端、雷の隣の席に座っていた女の子が派手な音を立てて椅子から転げ落ちる
「あいたたたたたぁ~~」
まだ少し幼さを残した顔立ちに下がり気味な目尻。癖のある髪を背中まで伸ばした彼女は花沢 朔夜(はなざわ さくや)、蒼志と雷の幼なじみだ
「ど、どうしたよ花沢?」
「……え?」
雷の声でクラス中の視線が自分に集まっているのに気付いた朔夜は顔を赤くして「…コホンッ」と一つ咳ばらいをすると椅子を戻し、また自分の席につくとその少しだけ垂れた瞳に抗議の色を乗せ蒼志をみた
「え!?なんで俺が睨まれてんだ?」
「だ、ダメなんだよ!碧維ちゃんは妹さんで、蒼志くんはまだ17歳なんだから。まだ…その…ふ、不純…とか…エッチな事とかは…その……」
恥ずかしさでなおも暴走を続けようとする朔夜を蒼志がとめる
「ストップ朔夜。俺は別にそんな事してない」
蒼志が呆れ顔でいうと朔夜は小首を傾げ
「え?だって今雷くんが……?」
「俺は"あんなことやこんなこと"って言っただけだし。誰もエッチな事だなんて言ってね~よ?」
雷がとぼけた声で言うと朔夜は赤かった顔を更に真っ赤にして抗議した
「あ、雷くんずるい!」
「ず、ずるいってなんだよ。俺は本当の事言っただけだし」
「だ、だって、あんな紛らわしい言い方するから!」
「でもエッチなことだって勘違いしたのは花沢じゃんか?」
「うっ…」
それを言われると立つ瀬のない朔夜は言葉に詰まった
「お……」
ーーーガララララララバンッ!!
見るに見かねた蒼志が助け船を出そうとして口を開いた瞬間、凄まじい音を立てて教室の扉が開いた
「うるっさいぞお前等!!!!」
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