序章

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ティムはユカリに見つめられ、反射的にこちらもじっとユカリの瞳を見つめ返すが、ユカリの黒く澄んだ瞳はなんだかすべてを見通しているようで長くは見ていられなかった。 ティムはふっと視線をはずし 「きみ、英語うまくなったねぇ。」 と、笑顔を作る。が、 「話をすり替えないでください。」 あっさり真意を見透かされる。ティムは、はぁ、とため息をひとつ吐き観念した。 「わかったよ、食べる、食べます。ユカリの言うとおりにするよ」 と言って再び椅子に座った。大人用の椅子と机は10才のティムには大きすぎ、ティムは机の上にほとんど顔と腕だけ出して、残った人参をなんとかやっつけた。
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