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あれから一年の月日が流れたけれど、今でも君は急に現れる気がする。
困った風の笑顔で、あたしに「嘘だよ」と告げて。そうしたらあたしは、ふざけた君を叱るよ。
それから仲直りをして、手を繋いで、駅の近くのあの喫茶店で熱いコーヒーでも飲もうよ。
「風邪ひいたりしてない?」
「マフラー、使ってる?」
「体調に気をつけてね」
「俺とずっと一緒にいてね」
記憶の欠片を乱暴に繋げた。歪で曖昧な、四季の色と台詞ならば何度でも蘇るのに……
――君の温度だけが思い出せないなんて。
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