序章

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「なぁ、暑くないか?その服。」 俺はゆっくりと自転車をこぎながら、後ろに座る黒いワンピースを着ている香澄に問い掛けた。 「・・・好きなの・・・黒が。」 ちっちゃな声で香澄は答えた。 小さな頃から香澄は内気で人見知りの激しい奴だったから、ほとんど友達がいない。 俺とは家が隣り同士だから仲がいいのだが、今日だって俺が無理矢理連れて来たようなものだ。 顔は可愛いし、背は低いし、物静かだから男にも人気がありそうなのに、こういう性格だから不思議ちゃん呼ばわりされている。
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