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ファミレスに入ると、美久が来たのをすぐ確認できるようにするため、窓側の席を選んだ。
頬杖をつきながら、平和で何の変貌を見せずに時間が流れていく平凡な街並みを眺める。
それにしても現代人の携帯への執着はかなりすごい。
人を待たせてまで携帯を取りに家まで帰ってしまうのだ。
軽く溜め息を吐きながら、先にドリンクバーを飲んで待っていた。
───────────…
「……千夏さん?」
コーラを飲みながら窓の外を見ていると、さっきまで聞いていた声がするではないか。
声のする方を見ると待ち合わせの場所まで案内してくれた男性だ。
「……偶然ですね。えーと……」
確か……
「宮塚史也です」
そうだった!
「すみません。名前を覚えるのは苦手で……」
申し訳なさそうに頭を下げるが、男性は気にしていないように思う。
「ここの席よろしいですか?」
「友達が来るのですが……」
なぜ数分しか会っていない人と同席にならないといけないのか。
いくらそう思ったって、口に出せやしない。
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