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7月7日。
俺はまだ重たい瞼を擦りながら自分の席に座っていた。
……なんだか教室が騒がしい。
俺は窓際最後列の席から教室を見渡す。
「噂通りだといいなぁ」
「お前、運命の出逢いみたいなのを期待してるわけ?」
「ばっ、ちげぇよ!だけどマジで可愛いらしいぜ?」
「どうだか。この時期の転校生なんてさしずめ『いじめ』とか原因じゃね?」
数名の男子がそういった会話を交わしていた。注意して聞いてみると、あちこちで転校生の話が出ているのがわかる。
前の席の誠がくるっと向きを変えて俺に話しかけてきた。
「転校生だってよ!」
「らしいな」
「テンション低っ!転校生だよ、転校生!ワクワクしないの?」
「まぁするけど。でも今それどころじゃない。眠い……」
誠はニタッと不快な笑みを見せ、俺のあげたDVD見てたの?と、俺の耳元で囁いた。
「やめろ、気持ち悪い。つか見てねぇよ!しかもお前が勝手に俺の家に置いてったんだろ?見ねぇよ、あんなもの」
「酷っ!せっかく女体に見慣れて貰おうと置いていったのに!」
「女体とか言うな、気持ち悪いから!つか前向け、そろそろバァサン来るから」
俺がそう言い終わるや否や、『バァサン』こと3年2組の担任の鴻池が教室の扉を勢い良く開けた。
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