message ~メッセージ~

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しかし、それ位でキレていては仕方がない。あえてそこはスルーする。 「とりあえず、どっちに座る?」 店内を見渡しながらヒロトに聞くと、 「無視かよ……」 少し寂しそうな声で呟いた。 あの顔はツッコミ待ちかよ、と思いながらも聞こえないフリ。 こんなくだらない事を店の中で騒ぐ気にもならなかったから。 そしてもう一度、問う。 「だからどっちに座るんだ?」 オレとしてはテーブルの方が良い。 理由は地べたに座っての食事は好きじゃないからだ。 ヒロトは一度周りを見渡してから、 「タカヤはどっちが良い?」 そう聞かれたオレは、少し考え、 「出来ればオレは椅子に座りたいけど、別にヒロトの好きな方で良いぞ」 自分の意見を言いつつも、最終的な判断はヒロトに任せた。 「なら、こっちで良いか」 すると彼は、そう言ってテーブル席を指す。 ヒロトは優しい。オレの意見を聞き入れてくれたようだ。 椅子のあるテーブルへと歩いて行った。  
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