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今は違うみたいだけど、そう付け加えられたヒロトの言葉は、オレの耳には入らなかった。
――そうだった。
自分の過去を悔いる。とは言っても、それがあるから今の自分がある以上、否定は出来ないが。
しかし、あの日病室で盗み聞きした時は、ユリの記憶は無かった。
あの時のアミの気持ちは、ユリからオレの事を聞いていて、それでも好きだと言ってくれていたのだろうか。
不安が胸一杯に広がっていく。
もし知っていた上での好意なら嬉しいが、それなら恋愛方面での信頼は低いと思う。
知らなくての発言なら今は大丈夫でも、それを知った時、信頼が一気に地に落ちるのが目に浮かぶ。
そうなった時の事を想像するのは怖い。
しかし、それをなんとかしなければいけないのは理解出来た。
過去は関係ないなんてセリフがあるが、オレはそんな言葉なんか信用していない。
それがあるから、今のその人がいる。
それを否定するのは、本当に好きなら出来るはずないから。
それが自分の持論であるオレは、過去は消せないがそれを帳消しに出来ると思っている。
だから、その方法を必死に考えた。
どうすれば、アミに信用されるのか。
そして、過去の過ちを取り戻せるのかを。
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