第十九章 葛藤

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 さらに強く、抱き締める。  千秋を全身で感じる。  受け止めるんだ――。 「殺せ」 『――え??』 「俺を……殺せよ……」  俺は千秋から少し離れ、千秋の爪の先を心臓に当てた。 『やっ――!!』 「お願いだ……俺はいいから……千秋……」  かっこよさげな事言って、本当は爪を持つ手が震えてる俺。  冷や汗が顔を伝う。 『そんな事出来る訳無い……』  千秋は震えながら首を振った。 『椿を殺すなんて――自分が消えるより怖いよ……』  千秋は、そう泣きながら言うんだ。  泣かないで欲しいのに……。 「俺も、千秋が苦しんでる顔見るのは……自分が死ぬより辛いんだ」  俺はそう言って、千秋を促す。 「このまま手を前に出すだけでいいからさ、殺していいから……早く……」  早くしないと、どんどん死にたくなくなってしまうから。  この世に未練を感じてしまうから。 『分かった…………』  
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