第四章 不安

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 俺の願いは叶わなかった。 『おはよう』  教室でそう話し掛けてきたのは慎と千秋……だけ。  変なテンションで朝っぱらから大声出してくる京介は居なかった。 「京介は……?」  僅かな望みを懸けて、俺は聞いた。 『……来てない』  千秋の言葉で、俺の望みは無くなった。  でも、もしかしたら……遅刻してくるのかも。  そんな淡い期待をよそに、登校完了のチャイムが鳴った。 『やべ!! 遅刻遅刻~』  そんな声が聞こえて、俺は思わずドアの方を見る。  …………京介じゃなかった。  俺はこんなに、京介が来るのを期待している。 『どした~?』  遅刻してきたクラスメイトが、俺の目線を感じたのかそう言った。 「いや、何でも無い」 『分かった! 早坂が来てないから心配なんだろ?』  直球だな。 「鋭いな、宮下……」 『まあ元気だせ!! 笑う門には福くるぞ☆』 「さんきゅー」  そう言って俺は笑った。 『そうそうその笑顔だ!! じゃな!』  宮下はそう言って俺の肩を叩き、自分の席に戻って行った。
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