第四章 不安

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『宮下、良い奴だね』  慎がそう言ったので、俺は驚いた。  滅多に人を褒めない毒舌な慎が……!! 『今失礼な事思わなかった?』  鋭い奴がここにも!! 「んな事ねぇよ~」  俺は目を泳がせながら言った。 『宮下も、元気になったね』  千秋が言った。 「ん? ああ、そうだな」  あの時は、随分落ち込んでいたからな……。 『やっぱり親友が自殺しちゃったらね……』 「京介もそうならないように願うよ」  俺はぽつりと呟いた。 『うんっ』  千秋と慎が、こくりと頷いた。 「放課後、京介の家に行ってみようぜ」  俺が提案した。 『そうだね、行こっ!!』  千秋が笑顔でそれに応じた。 『俺、無理』 「はぁ!!?」  俺は慎の言葉に素っ頓狂な声を上げた。 『今日退院なんだ』 「あ、そっか……」 『まぁ、仕方ないね』  千秋が言った。  そう。  慎の3つ下の弟は、今まで入院していたのだ。  そんな大病じゃなくて、肺炎だったんだが。 「分かった」  やはり、家族だしな。  俺は頷いた。
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