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2006年9月。
妊娠八ヶ月を目前に、心臓に疾患があると告げられた兄の娘。
周りには「まだ見ていない子よりも、かっくん(私から見た甥っ子)が可哀相だから出産は諦めろ」と言われていた。産んだらその子に掛かり切りになるのは目に見えていたから。
だが兄夫婦は「医療が進歩して、助かるかもしれない」と、周囲の反対を押し切って産む事を決意。
帝王切開で11月29日に出産することに決まった。
本当はかっくんと同じ誕生日(12月2日、この年は土曜だった)にしたかったらしいが…心疾患のある子供の出産のため、産科医、外科医、麻酔科医、小児科医、循環器科医の総動員が可能な日になったのだった。
関東の有名な産科小児科へわざわざかっくんを実家に留守番させてまで検査をしに行っていた。
お腹にいるうちは普通に生きられるのだから、かっくんも連れていけばいいのに。
何故この時かっくんを置いていったのか、未だにわからない。
一ヶ月程だっただろうか。兄夫婦が帰ってきた。
見せられたエコーの画像が3Dでびっくりした。
そして彼女も、かっくんと同じ「祖父似」であった。
顔を見れば当然ながら愛着がわく。
だが、どこまでも病気であることが付き纏い、兄嫁は精神不安定から体調を崩してしまった。
本人達が産んで育てると決めたのなら、外野が何を言おうと無駄である。出産までは会わないでおいた。
会ったら「もっとかっくんの事を考えてやれよ」と言ってしまいそうだったから。
この頃から、かっくんは実家にいる事が多くなった。
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