1945.8.9に。

家族

長崎東山手、グラバーさんちや、オランダ坂の近くの山の中腹に、我が家は有る。

昭和１９年秋、戦争は激しくなり、空襲も度々あり、食料も少なく、日々過ごすのが大変な中、私は高校を卒業し、金融系の仕事についていた。
学生は学徒動員として三菱など働きに行き、私もいつ…。

父は、年老いた５８歳で、貿易商で有り、今は銀行のお偉いさん。
母とは再婚、前妻との間に男の子が居て、私とは１５歳離れている。
兄は、今…遠い戦地に居る。
母は４０歳、父に惚れたんだと言う。
勝ち気な性格で、お茶や花をたしなみ、躾に厳しい、愛深い人。
兄は母を、母とは言わない、それを母も承知している。
そして、１４歳の妹が居る。物が足りない中、いろんなものから物を作り出す天才。
オシャレ。私は時々捕まり、手伝いをせがまれる。
室内犬に一匹の犬が居る。
お手伝いに来る人も居たり…と客多く、人の出入りが激しい家なのも、父の人徳であろう。