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公園の出口では、恵が待っていた。
園内から二人で走って来る姿を見て驚く。
「麻衣ちゃん!?大丈夫?」
「うん!大丈夫だよ!ごめんなさい…今まで、ずっとあたしを守ってくれてたんだね!」
二人を交互に見比べて、貴一の顔が腫れている事に気付いて、また驚く。
「麻衣ちゃん❗高田と喧嘩したの⁉」
すると、恥ずかしそうに貴一が答える。
「エヘヘ…俺、麻衣に負けちったぁ!そんで、ダチになったんだぁ!エヘヘ…!」
驚いて聞き返す恵。
「はぁ⁉麻衣ちゃん、マジで高田に勝ったの⁉」
「もう我慢出来なくて…ごめんなさい!」
恥ずかしそうに舌を出してみせた。
「スッゴいよぉ!さっきも泣きながら、男子二人が走って行ったけど…もしかして?」
「うん!全員に勝っちゃった…」
「麻衣ちゃん!すごーい‼」
言われてすぐに恵に聞く。
「あっ!恵ちゃん…あたし達…友達だよね?」
「うん!そうだけど…なんで?」
「今度から、ちゃんを付けるの…止めよぉ?」
「えっ!?う、うん!でも…なんで?」
「あたし何もしないで、諦めるの止めたの…だから恵ちゃんやタカと、もっと仲良くしたい!って思ったの、でも…どうすればいいのか、解らなかった…だから自分で決めるしかないって思ったんだ!」
「うーん…なんか難しいけど…麻衣が、そう考えるなら、あたしもいいよ!」
「タカ、恵もいいよね?」
「いいぜ!俺達、ダチだろ!」
三人で並んで歩く。
学校が見えてきた頃、俺が思っていたことを口にする。
「クラスのみんなと仲良くなりたいな…」
貴一と恵が顔を見合って、怪訝な顔になる。
「麻衣は、みんなから[いないちゃん]て呼ばれているよ」
貴一が言う。
「何をされても黙ってる。何を言われても、俯いたまま…笑いもしないし、泣きもしない。だから[いないちゃん]なの」
恵が言う。
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