仲間

4/4
前へ
/55ページ
次へ
二人の話を聞いて 「そっかぁ…ダメだなぁ。やっぱり…あたし頑張る!」 握り拳で小さくガッツポーズを作る。 「俺も麻衣と一緒に頑張る!」 貴一も同じ様にガッツポーズを作る。 坂の上にある、学校の門が見え始めた時、貴一が二人の前で立ち止まり、麻衣に言う。 「俺、ずっと前から麻衣の事が……麻衣の事が好きだったんだ!」 言われて、恵も俺も驚く。 「でも…麻衣に言えなくて…ごめんな。ずっとイジメてて…本当に、ごめんなさい!」 貴一は深々と頭を下げる。 「もういいよ。タカは、あたしの味方でしょ!あたしも嬉しいよ!でも…卒業したら付き合って上げてもいいかな。」 笑顔で答える。 「マジで!?やっ、やったぁ!俺、絶対に麻衣を守る!!あっ!恵も守るよ!」 顔を赤らめながら、貴一が宣言する。 「あたしは、序でかよ!」 二人の会話を聞きながら、恵が呟いていると 予鈴のチャイムが鳴った。 学校では、恵は隣のクラスだった。 「休み時間になったら、すぐに行くね。頑張ってね!麻衣。 タカ、アンタが頼りなんだから、麻衣を守ってよ!」 恵が再度、念を押す。 「任せろ!!」 恵に向かって、ガッツポーズを作る貴一。 教室に入ると、皆が一斉に麻衣と貴一を睨む。 男子達の中に、先に逃げてきた男子が机で俯いている。 「なんだよぉ!貴一君は【いないちゃん】と一緒に登校?」 教室の中が冷ややかにざわめく。 すると、貴一が黒板の前に行き、みんなの前で宣言する。 「俺、園田を……麻衣をイジメるの止めた!これからは麻衣に味方するから!!」 宣言したあと、少し睨みながら付け足す。 「麻衣をイジメる奴は、俺が許さねぇ!」 言い切ると一斉に教室中が騒がしくなる。 「なんでだよぉ!貴一ぃ!」 「なんでよぉ!貴一くぅぅん!」 男子も女子も貴一に言い寄る。 困り兼ねた貴一が口走る。 「だって!俺、中学生になったら、麻衣と付き合えるんだもん!!」 恥ずかしそうにウィンクして親指を立てると 女子からは、ブーイングの嵐。 男子からは 「自分だけ、汚ねぇぞ!俺だって、園田と!」 の妬みの嵐が起きて、もう誰も麻衣をイジる事は無かった。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加