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二人の話を聞いて
「そっかぁ…ダメだなぁ。やっぱり…あたし頑張る!」
握り拳で小さくガッツポーズを作る。
「俺も麻衣と一緒に頑張る!」
貴一も同じ様にガッツポーズを作る。
坂の上にある、学校の門が見え始めた時、貴一が二人の前で立ち止まり、麻衣に言う。
「俺、ずっと前から麻衣の事が……麻衣の事が好きだったんだ!」
言われて、恵も俺も驚く。
「でも…麻衣に言えなくて…ごめんな。ずっとイジメてて…本当に、ごめんなさい!」
貴一は深々と頭を下げる。
「もういいよ。タカは、あたしの味方でしょ!あたしも嬉しいよ!でも…卒業したら付き合って上げてもいいかな。」
笑顔で答える。
「マジで!?やっ、やったぁ!俺、絶対に麻衣を守る!!あっ!恵も守るよ!」
顔を赤らめながら、貴一が宣言する。
「あたしは、序でかよ!」
二人の会話を聞きながら、恵が呟いていると
予鈴のチャイムが鳴った。
学校では、恵は隣のクラスだった。
「休み時間になったら、すぐに行くね。頑張ってね!麻衣。 タカ、アンタが頼りなんだから、麻衣を守ってよ!」
恵が再度、念を押す。
「任せろ!!」
恵に向かって、ガッツポーズを作る貴一。
教室に入ると、皆が一斉に麻衣と貴一を睨む。
男子達の中に、先に逃げてきた男子が机で俯いている。
「なんだよぉ!貴一君は【いないちゃん】と一緒に登校?」
教室の中が冷ややかにざわめく。
すると、貴一が黒板の前に行き、みんなの前で宣言する。
「俺、園田を……麻衣をイジメるの止めた!これからは麻衣に味方するから!!」
宣言したあと、少し睨みながら付け足す。
「麻衣をイジメる奴は、俺が許さねぇ!」
言い切ると一斉に教室中が騒がしくなる。
「なんでだよぉ!貴一ぃ!」
「なんでよぉ!貴一くぅぅん!」
男子も女子も貴一に言い寄る。
困り兼ねた貴一が口走る。
「だって!俺、中学生になったら、麻衣と付き合えるんだもん!!」
恥ずかしそうにウィンクして親指を立てると
女子からは、ブーイングの嵐。
男子からは
「自分だけ、汚ねぇぞ!俺だって、園田と!」
の妬みの嵐が起きて、もう誰も麻衣をイジる事は無かった。
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