冬のコテージ

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森の奥へと続く小径を入って行くと 磯の香りが木々のあいだを縫うようにやってくる 葉を落としたカエデの森が途切れると 灰色の空があらわれ 海に面した平屋建てのコテージの裏庭で 小径は止まっていた 森の中でもひときわ珍しい 大きな1本のクスノキが 車寄せの役をしている その下に置かれている メルセデスのゲレンデバーゲンは 2週間動いていない 僕は もうひとりの自分に戻るために 毎年冬になると ひとりで ここへやってくる
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