孤立した世界

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いくら駅前に店が集中していると言っても目的も無しにうろついては意味がない。   「そろそろ帰るか。宿題があったようななかったような気がするし」   そう思い、家路に着こうと歩き出す。   「………ん?」   ふと、立ち止まる。別に誰かを見つけたとか、そういう事じゃない。   何か…空気が変わったっていうか、さっきまでの雰囲気とは違う感じがした。   不意に足元を見て、そして驚いた。   「……え!?」   俺の足元を含めた周囲の道路や建物を光の筋が走っている。   俗に言う魔法陣とか、そういう感じの訳の分からない紋章や文字が羅列された光の筋が幾重にも俺の周りの建物や道路を覆っている。   「な、なんだこれ…!?」   ふと、ある事に気付いた。俺の周りにはサラリーマンとか学生とかがたくさんいるのに、誰も俺のように慌てた様子じゃない。   何ら変わらず、目の前に起きてる異常現象を無視するかのように平然と歩いていた。   「どうなって…」   俺が言いかけた所で、俺の目の前が、周囲が、視界が真っ暗になった。
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