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「な、なんだあれ!?」
声の主は人間ではなかった。つーか、この世のものとは到底思えなかった。
いや、百歩譲って姿がピエロだってのは認めよう。
青紫色の唇、左目部分に星のマークを、右目部分には涙のようなマークが白い肌の上から描かれているためよく目立つ。
カラフルな帽子を被り、これまたカラフルな服に先が異様に尖った靴。手の指の数は…4本。
どの指がないんだ!?中指か?人差し指か?はたまた薬指!?いやいやいや、落ち着け俺。突っ込むべきはそこじゃない。
「う、浮いて…」
そう。この怪しいピエロはあろうことか、あぐらをかいたまま空中に浮いているではないか!
何かの特撮か!?カメラを探せ!いや、やっぱいい!
一人でオロオロしていると、ピエロが口を開いた。何だか楽しそうに微笑むのが気味が悪い。
「おまえ、綺麗な色をしているね。眩い位のオレンジだ」
「…は?お、おれんじ?」
俺の髪はおろか制服のどこにもオレンジ色は使われていない。
ならこのピエロは何を見てる?
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