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やっぱ俺の他に誰かいるのかと思い周りを見渡すが…誰もいない。
それにこの空飛ぶピエロは確実に俺を見てる。穴が空きそうなほど見てる。そんなに見つめるなよ、照れるぜ。
「お、オレンジって何の事だよ!つーか、ここ何処だ!?」
やっと思考がまともになってきたのか、とりあえず疑問に思った事が言葉になった。
「ん~、感情が高ぶるほどより大きく、綺麗に見えるね。ますます気に入ったよ」
空飛ぶピエロは見事に俺の問いを無視した。そして次の瞬間、ピエロがこっちに近付いて来た。
「え、うそ…なに?」
近くで見ると一層気持ち悪い。無駄に真っ白な歯をむき出しにして笑っているのだから。
「私は綺麗なものは綺麗なまま取り出すのが好きでね。動かないでくれよ?」
そう言い、ピエロが右手を掲げると鋭利なナイフが何本、いや何十本もピエロの背後から現われた。
「“シャーリークイック”…私が望むものだけを綺麗にくりぬいてくれる。私のお気に入りの一つだ」
「あ…あ…」
上手く言葉にならない。生まれて初めて感じる殺意。笑顔の裏に見え隠れする極上の殺気。
こいつはまさしくピエロ…道化師だ。
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