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「どれ…見せてもらうよ」
ピエロが掲げた右手をサッと下ろす、と同時にシャーリークイックと呼ばれるナイフが数本、勢いよく飛んできた。
無論、俺に向かって。
「ちょ!?え…」
逃げようとしても恐怖で身体が硬直し動けない。
有り得ねえ。ビビってんじゃねえよ、俺。
ナイフは真直ぐ飛び、俺の胸に直撃…
しなかった。代わりに、
「熱ッ!?」
火炎放射器のような物凄い勢いで真っ赤な炎が横から飛んできて俺に当たるはずのナイフを丸ごと飲み込んだ。
しかも、俺と炎との距離が近くて熱い。思わず後ろに尻餅をついた。我ながら情けない。
「んん~?真っ赤な紅蓮の炎…誰だい?」
ピエロが不機嫌そうに呼び掛ける。
それからすぐ、俺とピエロの間に入るように黒いロングコートを身に纏った人が勢いよく着地した。顔はフードを深く被っているため分からない。
ただ、背は物凄く小さい。中学生か…下手したら小学生くらいだ。
右手に身の丈ほどはありそうな刀を握り、左肩には金色の毛並みをした猫が一匹、しがみついている。
何とも言えない光景に、思わず息を呑んだ。
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