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「い!?」
「!」
俺も黒コートの少女も、笑い声の主を見た。
地面に転がっているピエロの生首を。
「こんなので私を殺したつもりかい!?だから滑稽なんだファントムブレイズ。
君じゃ私は殺せないよ」
喋りながら生首がフワリと浮かぶ。相変わらず炎みたいのは吹き出している。
「何を馬鹿な!」
言うが早いか動くのが早いか、黒コートの少女は浮遊したピエロの首に向かって一歩踏み出し、大刀を振り抜いた。
が、大刀は手応えなく空を切った。辺りにはピエロの首も身体もなく消えいた。
「まさかファントムブレイズが割り込んでくるなんてね。おかげで楽しかったよ。
でも、そこのオレンジくんは私が貰うよ…いつか必ずね」
姿はないが声だけがこの空間を包んだ。最後にあの気持ち悪い笑い声を上げて…
「…チッ、取り逃がした」
悪態をつきながらコートを腕で払い、右手に持った大刀をまるで鞘に納めるようにコートの内側に沈めていく。
刀身部分が全て消えたかと思うと、今度は柄の部分も消えて大刀の姿はどこにもなかった。
「…………。」
大刀が消えた事を確認した黒コートの少女は、黙ったまま俺に向かって歩き出した。
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