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「今日は疲れたな。」
仕事帰りにふと思い出す。
お前と出会った日のことを。
高校入ってすぐ。
もう一人の自分に気付いたのは、その頃だった。
何気なく始めていたオンラインゲーム。
それがきっかけで知り合うことに。
7月22日。
「おい、護、今日あそばねぇ?」
「そうだな、メンツは?」「いつもの5人、お前を入れて6人。」
「了解、特に用事もねぇし…。」
そう言った瞬間、
『今日はダメ。』
頭の中に響く声。
「わりぃ、今日用事あったわ、じゃな。」
俺はそそくさと帰る。
用事なんてないのに、なぜか急いでいる俺。
なんで急いでんだ?
ふと我にかえり、自転車を停める。
…まぁ、いいか。
考えても仕方ない、本当に用事があったら困る。
俺はさっきのペースと変わらないスピードで走り出す。
家に着いた俺は、リビングにあるパンを手にとり、部屋にいくと、さっきのパンに噛り付きつつパソコンの電源を入れる。
着替え終えるとパソコンをいじり、オンラインゲームをやる。
ある程度成長してるし、キャラ新しく作るか、と思い、キャラ作成へ。
名前:瑠奈
性別:女
「…あれ?なんで女なんか作ってんだ?」
俺は直ぐさま消そうとした。
体が動かない。
不思議に思い、大きく動かしてみる。
動かないのではなく…気付いた時には見知らぬ場所にいる感覚に襲われた。
思わず見渡してみる。
一人の女性がこっちへくる。
『はじめまして、護。ここは貴方の中よ。』
これが、もう一人の自分だった。
普通の人なら驚き、あたふたするだろう。
しかし、俺は落ち着いていた。
なぜなら、心あたりがないわけでもなかったから。
「そうか…多重人格か…。」
そう呟くと、俺はふっ、と笑い、
「よろしく、瑠奈。」
名前も聞いてないのになぜかわかった。
いや、もしかしたら、その時に命名したのかもしれないな。
これが瑠奈を確認した瞬間だった。
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