【ターニングポイント】

2/3
前へ
/137ページ
次へ
母親は家を出る前に何度も俺に親父と母親…そのどちらについていくのか聞いてきた。 俺は、両親が別々になる事が嫌だった。 いくら考えようと、ただそれが嫌だとしか思えなかった。 結局、俺は…どちらも選べないまま母親に 「お父さんと残る」 と答えた。 俺は、結果として親父と家に残る道を選んだが、それは迫られて出した答えで…本当は答えたくなかったし、そんな事は考えたくなかった。 今となっては、母親についていった場合の人生なんて想像もつかない。 もし、俺があの時…別の答えを出していたなら、今の俺は【俺】じゃなかった気がする。 だから後悔もしていない。 母親は、親父を選んだ俺に 「嫌になったら、いつでも来なさい」 と言った。 でも、その時の母親の顔は…凄く悲しそうだったのを覚えている。 母親に、俺があまりにもあっさりと答えた様に思われてないか気掛かりだった。 俺は母親を傷付けてしまった気がした。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

311人が本棚に入れています
本棚に追加