【スクラップ】

2/4
前へ
/137ページ
次へ
廃車置き場…。 鉄くずになるのを待つセダンの中で、もう2、3日は寝泊まりしている。 (家には帰れない) 俺にとっては家に居ても、この車の中に居ても、それ程変わりはないのだが… 家に居ても夜は暗いだけだ。 明かりは懐中電灯とローソク。 それも、家に借金取りが来れば消してしまう。 そう考えれば、慌てて隠れたりしなくて済む分だけ、この車の中に居た方が安心できた。 俺は一人、車の中で親父が戻るのを待っていた。 どのくらい時間が過ぎたのか確かめる時計もない。 しばらく待つと、親父が車に戻って来た。 親父は俺に飴玉を一つくれた。 親父が戻って来た安心感からか俺はとても嬉しかった。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

311人が本棚に入れています
本棚に追加