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しばらくして親父が
「もう、死のう…。」
と言った。
俺は親父に
「どうやってしぬの?」
と聞き返した。
あまりにあっさり聞き返されたので親父は動揺したのか
「富士山に行って…」
とあまり現実味のない返事をした。
俺は
「いいよ。」
「でも、いたくないヤツがいいな…」
と答えた。
俺は、まだ子供だった分だけ未練なんて感情もなく、リアルにそれを想像する事もできなかったのかも知れないが…
痛くないだろうと思える死に方をあれこれ考えては親父に話しかけた。
(車の窓を目張りして排気ガスで…)
不思議と、そんな事は知っていた。
親父は、ただ黙ったままだ。
俺は、明日になったら自分達は死ぬんだと思いながら、いつの間にか眠っていた。
もしも、鉄くずになるをじっと待つだけの車達にも人間と同じ感情があるなら…俺達、親子と同じ心境でその時を待っているのかもしれない…。
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